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時制の一致

[1]時制の一致の原則

[1]時制の一致の原則

①直接話法:S V "DC."
②間接話法:S V that IC.
において、S V を 伝達部と呼べ、DC or IC を被伝達部と呼べる。

動詞の時制がそれよりもう一つ前の過去に変換されることを"back-shift"と呼べる。直接話法から間接話法の書き換えにおいて、

(1)伝達部(主節)の動詞が現在形、現在完了形、未来形のときは back-shift は生じず被伝達部(従属節)の動詞(助動詞)の時制は直接話法と変わらない。

(2)伝達部(主節)の動詞(助動詞)が過去形のとき、

(2-1)直接話法の被伝達部(従属節)の動詞(助動詞)が現在形のとき、

(2-1-1)文全体の発話時が被伝達部(従属節)の事象が生じている時間に含まれるとき、被伝達部の動詞(助動詞)は back-shift せず、現在形
 特に被伝達部の内容が現在も過去も未来も変わらない普遍的真理であるとき back shift せず、現在形
(2-1-2)文全体の発話時>被伝達部の事象が生じている時間 のとき、被伝達部の動詞(助動詞)は back-shift し、過去形
(2-1-3)それらが不明の時は back-shift し、過去形
(2-2)直接話法の被伝達部(従属節)の動詞(助動詞)が過去形のとき、被伝達部の動詞(助動詞)は back-shift し、過去完了形
 ただし、被伝達部の内容が歴史的出来事であるとき、被伝達部の動詞(助動詞)は back-shift せず、過去形

(2-3)被伝達部の動詞が未来を表す(will, be going to, etc.)助動詞の現在形のとき、

(2-3-1)文全体の発話時=<被伝達部(従属節)の内容の時間のとき、被伝達部の動詞(助動詞)は back-shift せず、助動詞の時制は変わらない。
 ただし、=<か>か不明の時は back-shift し、助動詞の時制は過去形
(2-3-2)文全体の発話時>被伝達部の内容の時間のとき、被伝達部の動詞(助動詞)は back-shift し、過去形

が原則である。

He said, "I like music."
He said that he liked music.
He said that he likes music.
彼は音楽が好きだと言った。

今も彼が音楽が好きなら、likes。今は好きでないまたは不明なら、liked.

He said, "I saw her yesterday."
He said that he had seen her yesterday.
He said that he had seen her the day before.
昨日彼女と会ったと彼は言った。

彼が言った時と文全体の発話時が同一日なら yesterday、そうでないなら the day before。

He said, "I have seen the film before."(現在完了形は現在時制である)
He said that he had seen the film before.(過去完了形は過去時制である)
彼はその映画は以前に見たことがあると言った。

The teacher said, "History repeats itself."
The teacher said that history repeats it self.(普遍的真理)
歴史は繰り返すとその教師は言った。
The teacher said, "The Dutch accepted protestant refugees in the sixteen and seventeen centuries."
The teacher said that the Dutch accepted protestant refugees in the sixteen and seventeen centuries.
(歴史的出来事) オランダ人は16-17世紀にプロテスタント難民を受け入れたとその教師は言った。

We learned that Leif Ericsson had discovered America earlier than Columbus did.
レイフ・エリクソンはコロンブスより早くアメリカを発見していたと、私たちは学んだ。

どちらも歴史的事実だが、レイフ・エリクソンの業績がコロンブスより前であることを強調する必要があるのでこうなった。

She said, "I will have left by this time tomorrow."
She said that she will have left by that time tomorrow.(彼女が言った日と文全体の発話日が同一日)
She said that she would have left by that time of the next day."(彼女が言った日が文全体の発話日の前、助動詞の back-shift)
彼女は明日の今頃までには去っていますと言った。

He said, "I will leave after she returns."→ He said that he would leave after she returned.(助動詞の back-shift)
彼は彼女が戻ってきてから自分は行くと言った。

ただし、彼女が戻ってくることが現在の習慣になっているなら。

He said that he would leave after she returns.

彼女が戻ってくることも、その後、彼が帰ることも現在の習慣になっているなら。

He said that he will leave after she returns.

[1例外]だが、上記の規則はかなり緩やかである。文全体の話し手が、発話時現在に基準をおいて過去も大過去も同じ過去と見なし、過去形→過去完了形の back-shift は生じないことがあり、話し手が時間にあまり注意を払わないなら、かえって上記規則に慣性的に従って、現在も真であっても、 back-shift することがある。

[1例外1]被伝達部の内容が現在も真であることを特に強調する必要がない場合は、動詞を過去形にすることがある。

He /forgot/mentioned/realized/regretted/discovered/showed/noticed/was amazed/was concerned/ that those plants /died/die/ soon after they /blossom/blossomed/.
彼はそれらの植物が花を咲かせた後ですぐ枯れること/を忘れていた/を述べた/理解した/を残念がった/を発見した/を示した/に気づいた/に驚いた/を心配した/。

He thought that the President of Korea /is/was/ really a CIA agent.
彼は新大統領は本当はCIAのエージェントだと考えた。

This morning he said he /is/was/ going there tomorrow.
今朝、彼は明日そこに行くことになっていると言った。

[1例外2]文全体の発話時>被伝達部の内容の時間において、それらの時間差への注意が希薄になり、従属節の動詞が過去完了形ではなく単なる過去形になることがある。特に被伝達部に時間を明示する語句があり、より過去であることが明らかなときは、被伝達部の動詞は単なる過去形になることが多い。

"The exhibition finished last week," explained the curator.
The curator explained that the exhibition /finished/had finished/ the preceding week.
展示会は先週終わりましたと管理者は説明した。

[1例外3]直接話法で被伝達部に過去完了形があるとき、それより過去の時制はないので、間接話法でも過去完了形のままにする。

He said, "I found that I had seen the film before."
He said that he had found that he had seen the film before.
彼は以前にその映画を見たことがあることが分かったと言った。

He said "I went to see a film yesterday, but I had seen it before."
He said that he had gone to see a film the day before, but that he had seen it before.
昨日映画に行ったが、以前に見たことがあった、と彼は言った。

逆に言うと、間接話法で被伝達部に過去完了形があるとき、時を表す副詞句または節がなければ、直接話法への書き換えは三通りが可能である。

She said that she had seen him.→
She said, "I saw him."
She said, "I have seen him."
She said, "I had seen him."

[1例外4]伝達部(主節)の動詞が現在完了形のとき、現在完了形は現在時制なので従属節において back-shift を生じないのが原則だが、被伝達部の内容が過去にも事実であることを強調する場合は back-shift を生じることがある。

I have always known you /are/were/ a good speaker.
あなたが話がうまいことを私はずっと知っていました。

I have always thought he /is/was/ a gentleman.
彼は紳士だと私はいつも思ってきました。

ちなみに、上の二文の主節の現在完了形の意味は継続である。

[2]助動詞の時制の一致と仮定法における時制の一致

[2-1]伝達部(主節)が控え目表現を含む仮定法過去のとき、被伝達部(従属節)において back-shift は生じない。

The boss would say, "You are fired."
The boss would say that you are fired.(仮定法過去と控え目な推測の両様の解釈が可能)
社長ならお前は首だと言うだろう。

[2-2]被伝達部(従属節)に、慣用表現を含む直接法過去形または控えめ表現の仮定法過去の could, would, might, should, used to, had better などの助動詞の過去形があるとき、back-shift しない。つまり、助動詞過去形+have+過去分詞とならない。元来過去形であった must, ought to, need でも back-shift しない。

"We could be wrong," I told them.(控えめの推測)
I told them that we could be wrong.
「私たちは間違っているかもしれない」と私は彼らに言った。

He warned, "You had better not tell anyone."(慣用表現)
He warned that I had better not tell anyone.
「誰にも言わない方がいいぞ」と彼は私に警告した。

"You shouldn't smoke in this building," he told them.(should は shall の過去形である)
He told them that they shouldn't smoke in that building.
このビルの中で煙草を吸ってはいけませんと彼は彼らに言った。

He said to me, "You must be tired."(元来過去形)
He told me that I must be tired.
さぞお疲れでしょうと彼は言った。

He said, "You needn't go."(元来過去形)
He said I needn't go.
君は行かなくてよいと彼は言った。

[2-3]被伝達部が仮定法現在、仮定法過去、仮定法過去完了のとき。仮定法現在では back-shift は生じない。仮定法現在の代わりに should が用いられるときにも生じない。控えめ表現を除く非現実を表す仮定法過去では back-shift は生じる。ただし、被伝達部の仮定的内容が現在も真のときは bach-shift は生じない。非現実を表さない控えめ表現の仮定法過去では back-sift は生じない。仮定法過去完了では back-shift は生じない。

We insisted that he (should) resign at once.(仮定法現在またはその代用の should)
私たちは彼がすぐに辞職することを要求した。

It was essential that this mission (should) not fail.(仮定法現在またはその代用の should)
この使命が失敗しないことが不可欠だった。

"If he were here, he would argue against the idea," she said.(非現実を表す仮定法過去)
She said that if he had been there, he would have argued against the idea.
彼がここに居たらその考えに反論するでしょう、と彼女は言った。

She said, "If I had enough money, I'd repay you the money he borrowed."(非現実を表す仮定法過去)
She said that if she had had enough money, she would have repaid me the money he had borrowed.(現在十分なカネがある場合)
She said that if she had enough money, she would repay me the money he had borrowed.(現在も十分なカネがない場合)
もしお金があったら、一杯おごります、と彼女は言った。

He said, "it would be nice if I could see you again."(非現実を表す仮定法過去)
He said it would be nice if he could see me again.(現在も会えない)
「もう一度お目にかかれたらよいのですが」と彼は言った。

[3]被伝達部の中に主節と従属節があるとき

[3-1]直接話法の被伝達部の主節と従属節の動詞(助動詞)が現在形または未来形のとき、被伝達部の中の主節も従属節も back-shiftするのが普通である(未来形の場合、will が would になる)。

He said, "I will leave after I inform her of the time and place of the meeting in person."
He said that he would leave after he informed of the time and place of the meeting.
彼女に直接、会議の時間と場所を知らせてから行くと彼は言った。

[3-2]直接話法の被伝達部の主節と従属節の動詞が過去形のとき、従属節の時制は back-shift しないのが普通である。

He said, "I waited outside while she locked up."
彼は彼女が戸締りしている間、外で待ったと言った。
He said that he had waited outside while she locked up.
(これが普通)
He said that he had waited outside while she had locked up. (従属節まで back-shift するのは稀)

[3-3]被伝達部の主節と従属節の動詞がともに過去完了形のとき、もはや back-shift しない。被伝達部の主節の動詞が過去形で従属節の動詞が過去完了形のとき、主節の動詞は back-shift するのが普通である。被伝達部の主節の動詞が過去完了形で従属節の動詞が過去形のとき、従属節の動詞は back-shift しないのが普通だが、back-shift することもある。

He said, "My wife had already gone to work when I phoned her this morning."
He said that his wife had already gone to work when he phoned her this morning.(こちらが普通)
He said that his wife had already gone to work when he had phoned her this morning.(こちらは少ない)
今朝電話したとき、妻は既に仕事に出かけていた、と彼は言った。

[3-4]目的を表す従属節中の時制の一致。助動詞は過去形にする。元来過去形の助動詞はそのままにする。


They climbed higher so that they might get a better view.(may を might に変えた)
彼らはもっと眺めをよくするためにさらに高く登った。

I took care that he should not hear me.(should をそのままにした)
私は彼に聞こえないように注意した。

[3-5]比較節においては文全体の発話時を基準とするので時制の一致は生じない。

He sang better than /①she did/②he had ever done/③she has ever did/④he does/⑤he will do.
①は同じ過去における彼の歌唱力と彼女の歌唱力を比較している。②は過去のある時の彼の歌唱力とそれより前の過去の彼の歌唱力を比較している。③は過去のある時の彼の歌唱力と現在と過去の彼女の歌唱力を比較している。④は過去のある時の彼の歌唱力と現在の彼の歌唱力を比較している。⑤は過去のある時の彼の歌唱力と未来の彼の歌唱力を比較している。

[4]動詞による時制の一致の傾向

[4]以下の動詞では、被伝達部の現在における真偽が問題にならないので、 back-shift する傾向が強い。

[4-1]主語の想像、夢想、信念を表す動詞では真偽が問題にならないので

I dreamed that I was stark naked in public.
私は公衆の面前で素っ裸である夢を見た。

He believed that he was immortal.
彼は自分は永遠の命をもつと信じていた。

[4-2]主語の発話の様態を表す動詞

He /quipped/snort/whisper/ that she was a spy.
彼女はスパイだと彼は/冗談で/鼻を鳴らして/小声で/言った。

[4-3]発言内容が推測、可能、事実…などであることを既に断っている動詞、形容詞、名詞

It /seemed/was likely/was possible/was a fact/was true/ that he was blameless.
彼は悪くない/ようだった/可能性があった/というのは事実だった/。

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